編集と出力
スライドを作ったあとの流れ——二段階編集(内容とデザインを分けて直す)、スライド操作(追加・複製・削除・並べ替え)、そして 出力(PPTX とスタンダロン HTML)——をまとめます。
書き方そのものは Markdown と 図 を、見た目の源である テンプレート を先に押さえておくとスムーズです。
二段階編集 — 内容とデザインを分ける
SlideCraft の編集は、独立した 2 つの層に分かれています。この分業が「フォントやレイアウトを崩さずに整ったスライドを作る」仕組みの核です。
| 層 | 何を指定するか | 誰が具体化するか |
|---|---|---|
| 内容(コンテンツ) | スライドの中身 — 見出し・箇条書き・表・図 | あなたが Markdown で書く |
| デザイン(配置) | 空間的な意図 — 「テキストは左・図は右」「このノードを強調」「図の向きを縦→横に」 | エンジンが実座標に落とす |
内容 = Markdown
内容は「このスライドを丸ごと」の単位で Markdown として編集します。テキストも図(diagram / mermaid フェンス)も、同じ Markdown のなかで扱えます。視覚エディタでスライドを選ぶと、その 1 枚分の Markdown を直接編集できます。
# 四半期サマリ
> 2026 Q2
<!-- kpi -->
- 売上: ¥1.2M (+12%)
- 稼働率: 98%
<!-- col -->
### ハイライト
- 新規顧客 +18%
- 解約率 過去最低デザイン = 空間的な意図
デザイン層では、座標を直接いじるのではなく「意図」を指定します。たとえば図のノードを強調したい、テキストと図の左右を入れ替えたい、といった意図をエンジンが受け取り、テンプレートのフォント・配色・レイアウトを崩さない範囲で実際の座標に変換します。
図(ダイアグラム)や画像は、視覚エディタ上でドラッグ移動・リサイズができます。その操作結果は Markdown 側の属性として保存されるため、両層は常に同期します(画像なら {x=…,y=…,w=…,h=…}。詳細は Markdown 記法の画像 を参照)。
2 つの層は独立している
内容を書き換えてもデザインの意図は保たれ、逆にデザインを調整しても内容は変わりません。どちらの層も AI に手伝わせることができます(AI設定 参照)。AI の編集結果は採用ゲートで差分を確認してから accept/reject を選べます。
スライド操作
視覚エディタの左側にあるサムネイル一覧(スライドリスト)から、デッキの構成そのものを編集できます。
| 操作 | やり方 |
|---|---|
| 選択 | サムネイルをクリック。そのスライドがプレビューに出る |
| 追加 | 新しいスライドを末尾(または選択位置)に追加 |
| 複製 | 既存スライドをコピーして直後に挿入 |
| 削除 | 不要なスライドを取り除く |
| 並べ替え | サムネイルをドラッグして順序を入れ替える |
ドラッグ並べ替えの挙動
並べ替えはサムネイルを掴んで上下に動かすだけです。ドラッグ中は挿入先を示すインジケータが表示され、離した位置にスライドが移動します。クリックとドラッグはしきい値(数ピクセルの移動)で区別されるので、軽いクリックは選択のまま、はっきり動かしたときだけ並べ替えになります。
ネイティブ HTML5 ドラッグではなくポインタ操作
デスクトップ版の Webview(WebKitGTK / WKWebView)ではブラウザ標準の HTML5 ドラッグ&ドロップが不安定なため、SlideCraft はポインタイベントで並べ替えを実装しています。使い勝手は変わりませんが、この設計上の理由でドラッグは滑らかに追従します。
作業状態は .slidecraft プロジェクトファイルとして保存でき、あとで再開できます。
出力
完成したデッキは 2 つの形式で書き出せます。用途で使い分けてください。
| 形式 | 向いている用途 |
|---|---|
| PPTX | PowerPoint で開いて手直しする/社内配布・提出 |
| スタンダロン HTML | ブラウザでそのまま発表する/リンク 1 つで共有する/印刷配布 |
PPTX(PowerPoint)
.pptx として書き出します。ポイントは、図・表が編集可能なネイティブ図形として出力されることです。画像として貼り付けられるのではないので、PowerPoint 側で箱・矢印・グラフ・表のセルをそのまま手直しできます。
- テンプレートの色・フォント・レイアウトはそのまま維持されます。
diagramの 12 種と、変換可能なmermaid(class / state / ER / mindmap)はネイティブ図形になります。- 画像(データ URI)はデコードされ、メディアとして貼り込まれます。
<!-- note -->で書いたスピーカーノートは、PowerPoint のネイティブなノートペインに入ります。ノートの無いスライドにはノートパートを作らないので、ノート無しデッキの出力は従来と変わりません。
スタンダロン HTML
単一の HTML ファイルとして書き出します。外部依存のない自己完結ファイルなので、そのファイルを開くだけでブラウザ上でプレゼンできます。共有もファイル 1 つで済みます。
書き出し時に既定の遷移方式(fade / slide / zoom / push、既定は slide)を選べます。表示中は次の操作ができます:
| キー / 操作 | 動作 |
|---|---|
→ / Space / PageDown、画面右 3 分の 1 クリック | 次のスライド |
← / PageUp、画面左 3 分の 1 クリック | 前のスライド |
Home / End | 先頭 / 末尾へジャンプ |
o | オーバービュー(全スライドの一覧グリッド)を開閉。サムネイルをクリック/Enter で移動 |
t | 遷移方式を順に切り替え |
n | スピーカーノートパネルの表示切り替え(既定は非表示。ノートのあるデッキのみ) |
f | フルスコープ(フルスクリーン)切り替え |
#3 などの URL ハッシュ | そのスライドに直接ジャンプ(ディープリンク) |
印刷は 1 スライド = 1 ページ
HTML をブラウザで印刷(または PDF 保存)すると、1 スライドがちょうど 1 ページになります。遷移アニメーションやオーバービューは画面表示だけのもので、印刷には影響しません。配布用ハンドアウトをそのまま作れます。
出力時の制約(非対応の Mermaid)
gitGraph / sankey / C4 は PPTX に描けません
変換可能な Mermaid(class / state / ER / mindmap)は自動でネイティブ図になりますが、gitGraph / sankey / C4 などの変換不能な Mermaid は PPTX に変換できません。
これらは無言で消えることはなく、既定では出力が拒否されます。該当するスライドは、対応する図——diagram フェンスの 12 種、または変換可能な Mermaid——に置き換えてから出力してください。
また、埋め込み画像はデータ URI(data:image/...;base64,...)のみが画像化されます。リモート URL やローカルパスは安全のため画像にならず、本文テキストとして扱われます(Markdown 記法 参照)。